1896年、岡山県岡山市出身。1920年東京工業大学卒。1950年にIHI、1965年に東芝、共に社長として経営再建を果たす。第4代経済団体連合会会長。称号は岡山県名誉県民。1988年没、享年91歳。

真のリーダーが求められる現代だからこそ、この偉大な故人を紹介したい。二つの企業を再建した「改革請負人」土光敏夫氏。経団連会長として日本経済に多大な貢献をした彼は、岡山市出身で岡山県名誉県民の一人である。一九五十年、当時風前の灯火だったIHIの社長に就任し世界レベルの企業に躍進させ、その後一九六五年には東芝の経営再建も果たす。社長就任挨拶の「社員諸君にはこれまでの三倍働いてもらう。役員は十倍働け。私はそれ以上に働く」という言葉には、土光氏の人柄が如実に反映されている。誰よりも早く出社し、休み返上で仕事をした。清貧を貫いたことでも有名だった土光氏は、月十万円で質素な生活を送り、収入のほとんどは私立学校に寄付していたそうだ。財界のトップに君臨しながら、社員や国民に愛され続けた真のリーダー。その生き方や姿勢に、多くの人が魅了されたのだろう。