1975年生まれ、笠岡市飛島出身。国際武道大学を卒業後、2002年から笠岡市内の中学校で非常勤講師として勤務。頻繁に利用していた海上タクシーが廃業すると聞き、島の交通事情を考え2011年4月に「海上タクシー第八白兎」を起業した。島民の重要な交通手段を担う一人として事業を展開している。

岡山県笠岡市沖にある人口百人ほどの小島『飛島』。笠岡諸島に属するその島は海上交通によって支えられている。その中で時刻表で運行する定期船とは違い、医療設備の乏しい島にとって緊急時など電話一本で二十四時間の送迎に対応する海上タクシーは、島と本土を結ぶライフラインだ。飛島出身の山河秀一氏は非常勤講師として笠岡市内の中学校で勤務していた。帰省の際に利用していた海上タクシーが廃業するという話を耳にし、かねてより島に関わる事業をしたいと考えていた山河氏は教員を辞め海上タクシーの起業を決意。家族からの反対を「生まれ故郷飛島を元気にしたい!」との強い思いで説得し、二〇一一年四月から事業をスタートさせたのだ。その行動力に島民からも厚い支持を受け、多い日には七往復以上することもある人気の海上タクシーとなっている。山河氏が起業に踏み切った背景には、飛島から若者がいなくなり急激な過疎化が進む現状を自らの手で変えていきたいとの強い思いがあったから。「飛島には誇れる自然と市街地では味わえないゆっくり落ち着いた時間を過ごせる空間がある」。教員時代、教え子達を飛島へ招待した際に空気の美味しさや綺麗な海に感動する生徒達を目にしてきた山河氏は、そんな島の魅力を海上タクシー事業を通じて来島する人々に伝えていくことで島の活性化に寄与している。また将来的には飛島で民宿や飲食店を自ら手掛け、島の魅力を発信していく拠点として観光客や定住者の増加を促進していく考えだ。 現在、海上タクシーを運行するのは山河氏を含めて7事業者。操業者の高齢化が進む中、島の重要な交通の一角を担う一人としてこれからも故郷の活性化にむけて活動していく。