1981年生まれ、東京都練馬区出身。京都外国語大学フランス語学科卒業後、実家である吉田牧場に就職。2007年から1年間、本場フランスのチーズ農家を回って修行を積む。現在は吉田牧場2代目・チーズ職人として活躍している。

「日本一のチーズ」吉田牧場のチーズは、そう評されている。イタリア料理の巨匠「ラ・ベットラ」の落合シェフに認められたその味は、多くの料理人を虜にし、全国の一流レストランや高級料亭から注文が殺到。種類によっては半年待ちというほどの人気ぶりで、日本で一番入手困難なチーズと言っても過言ではない。吉田牧場は、初代・吉田全作氏、息子で2代目の原野氏によって経営されている。全作氏が拓き、培ってきた土台に原野氏がフランスで学んだ知識や技術を加え更なる品質向上を目指している。その原野氏がチーズを作ることと同じくらい重きを置いているのが、その原料となる生乳、つまり牛の育て方だ。放牧スタイルで自然の牧草を食べ、のびのび育った牛だからこそ、良質なミルクと美味しいチーズが生み出せる。「牛の食べ物や環境、チーズ作りの工程や熟成の期間など、改善の可能性は随所に溢れている。生き物相手のことで、旨くいかないこともあるが、新しい技術や考え方を導入しながら、常に今以上のものを目指していきたい。」と語る原野氏。「売れるから、たくさん作る」ではなく、彼がこだわるのは、目の届く範囲で本当に良いものだけを作る、ということ。「チーズ作りに完成や終わりはない。」という言葉通り、その真っすぐな姿勢は吉田牧場のチーズを食べれば伝わってくるはずだ。その味もさることながら、製品に対する真摯で妥協なき姿勢こそ、吉田牧場が、全国に誇る岡山ブランドたる所以だ。