㈲清風庵 専務取締役。1967年生まれ、岡山県岡山市出身。高校卒業後、父親が経営する清水製菓㈱に入社。1990年、兄と共に㈲清風庵を設立し、おかやまロールや清水白桃ゼリーなど岡山産の果物を活かした菓子を多数開発。来年には阪急梅田本店に出店を予定。また、池田動物園をおうえんする会の会長も務めている。

自宅の1階は和菓子屋で、家にはいつも甘い香りがたちこめていた。繁忙期は子どもたちも手伝うのが当たり前、小さな頃からお菓子が身近にある環境で育ったという清水努氏は、商業高校を卒業すると同時に和菓子の道に進み、家業である和菓子屋を継ぐこととなった。兄と共に清風庵を設立した1990年から卸売りを主流として販路を拡大し、今や同社の和菓子は、阪急、大丸など全国規模の百貨店で取り扱われている。作州黒甘納豆など岡山の特選素材を使用したおかやまロールや、清水白桃ゼリー、おかやま檸檬ケーキなど、岡山県産の果物を活かすということにこだわった和菓子を全国に発信している。コンビニスイーツなど、安価で手頃なお菓子が横行する中、地元の素材を活かし、「売上げより味で勝負する」という気概を込め、上質な和菓子を作っているのだ。 全国的にも店は年々減少し、後継者も不足の一途をたどり現在では斜陽産業ともいえる和菓子業界。そんな逆風の中でも清水氏は、製菓専門学校の非常勤講師を務め、後進の育成にも励んでいる。「和菓子は、古くから仏事や祝い事にも使われていた、人の一生に深く関わるもの。食文化の多様化などで日本古来からの風習が薄れていく中、今の時代と上手く融合させて日本の心を伝えつづけていきたい」と語る。来年には阪急梅田本店に出店を予定し、ますますの発展を目指す清風庵。これからも上質な和菓子を岡山から全国に送り出してくれるだろう。