㈱辻本店杜氏、取締役製造部長。1977年生まれ、岡山県真庭市出身。大学卒業後、辻本店に入社し酒造りを始め、2007年杜氏に就任。広島国税局清酒鑑評会“純米酒の部”優等賞、備中自醸清酒品評会で金賞を、ともに6年連続で受賞する。純米酒「GOZENSHU9(NINE)」など新しい商品を製造するとともに、地酒の普及にも取り組んでいる。

革新的なボトルデザインを掲げ、これまでの日本酒のイメージを一新する清酒が岡山県勝山の蔵元・辻本店から発売された。「若い人にも楽しんでもらえる新しい日本酒を」という若手蔵人9人の想いを結集して創られた清酒「GOZENSHU9(NINE)」は、杜氏・辻麻衣子氏を象徴するようなお酒だ。低迷する日本酒業界に打って出た岡山県唯一の女性杜氏。蔵元の娘として生まれた彼女だが元々家業を継ぐつもりはなかったという。しかし、大人になってお酒の美味しさに目覚めると同時に地元勝山の良さを再認識し、酒造りの世界に飛び込んだ。前杜氏である名人原田氏のもとで修行を重ね2007年杜氏に就任。「杜氏の役割は、野球チームの監督のようなもの。蔵人の健康管理や蔵の環境整備も含め、良い酒を造るために全体を統率していく立場です。私は、造り手も飲む人も、ワクワクするようなお酒を造りたいという想いで杜氏をやっています。」と語る彼女は、発酵食品の製造法を学び発想のヒントを探るなど、全く新しい視点からの酒造りにも目を向けている。伝統にこだわりながらも新しい挑戦を取り入れ、酒造りに挑む辻氏が見据えるのは、業界の発展と地元勝山への貢献だ。県内外の多様なイベントへ積極的に参加し、地酒の普及と業界の活性化にも果敢に取り組む辻杜氏。伝統ある酒蔵から湧き上がる新たな挑戦は、日本酒業界と勝山の街にとって新しい力となっている。