オリビエ:フランス出身。ロンドンから、子育てのことを考慮し西粟倉村に移住。浩美:ロンドンから帰国し、故郷の西粟倉村に移住。もともと祖母が図書館として地元の子供たちに開放していた「軒下図書館」を再スタート。

本が大好きだった裕美さんの祖母が、生前自宅の一室を地域の子どもたちに図書館として解放していた「軒下図書館」。イギリスで仕事に追われる忙しい日々を送っていたチャールズ夫妻は、子育てのことを考えて今から5年前、この地に移住した。高校生のときアメリカの学校に編入卒した裕美さんに惜しみない支援をしてくれた祖母へ感謝の意を込めて、この家で新しい「軒下図書館」として事業を再スタート。素晴らしい自然に囲まれた宿泊施設、子どもから大人まで実践的に英語とフランス語を学べる語学教室や、無添加で健康的なパンが人気のフランスパン工房、オリビエさんが講師を務めるヨガ教室など、実に多彩なコンテンツを提供している。「ここまで辿りつけたのは、今まで軒下図書館に色々な形で関わって下さった方々がいたおかげです。地域の方には野菜を頂いたり、パン屋さんの常連になってくれたり、いろんなところで助けられています。豊かな自然ももちろんですが、強い信頼関係があるこの土地の素晴らしさを、国内だけでなく海外の方にも伝えていきたい。そして、常に世界に目を向け繋がっていたいという思いもあり、宿泊施設をやっています。」実際、宿泊客の1割は外国の方というから驚きだ。東京や京都などを訪れる外国人観光客が多い一方で、日本の違った側面や田舎の生活を楽しみたいという人もいる。お2人は、外国語の観光設備が整っていない環境の中でも日本文化を楽しんでもらおうと、観光客を様々な場所や体験に案内している。また国内からも、普段の生活とは違ったカントリーライフを楽しみに、たくさんの人が訪れる、軒下図書館B&B。チャールズ夫妻の心のこもったおもてなしと、豊かな大自然に惹かれてリピーターになる方も多いという。「様々な地域から人が集まるので、国際交流も楽しんでもらえたら嬉しいですね。新しい生活へのインスピレーションを感じてもらい、お互いにとってプラスになるものをお土産に持って帰って頂けるよう、ハートフルな対応を心掛けています。また、宿泊施設やヨガ教室など、ひとつひとつの役割を高めて、さらに皆さんに喜んでもらえる軒下図書館になっていきたい。地域のことを考えて誰か1人だけが行動するのではなく、100人で一歩前進するような社会の実現に貢献していければと思っています。」これからの目標をそう語ってくれたお2人。中山間地域という難しい場所にありながら、西粟倉村に新たな観光を創出し、世界へと発信している。森林に包まれ、ゆるやかな時間を感じられる軒下図書館。着飾ることない豊かなライフスタイルを体験すれば、誰もがリフレッシュできるはず。