㈲中山靴店 取締役。1978年生まれ、岡山県玉野市出身。大学卒業後にメキシコの靴工房で修行。2002年に中山靴店を継ぎ、今年にはリペア専門店「ラブーロ」をオープン。ドイツの国家資格、ゲゼレを持つシューフィッターでもあり、現在は医療大学に通いインソールの研究を続けるなど、更なる成長を目指している。

「最終的には日本で靴学校を開き、靴で世界と戦える人材を養成したい。」中山靴店の代表であり、靴職人である中山憲太郎氏は、自身の夢をそう語った。大学卒業後メキシコの工房で靴づくりの基礎を学び、帰国。日本でオーダーの靴を作っていたとき、そのお客様のほとんどは足が悪い人だったという。足を知ることの重要性を痛感した彼は、東京のドイツ人靴学校に通い、解剖学や運動生理学に基づいた靴づくりを教わった。これまでの経験と学びからインソールの重要性を知った彼は、現在も新潟の医療福祉大学で研究を重ねるなど、更なる高みを目指して研究開発を続けている。日本では融資格者の少ない、ドイツの国家資格であり、整形外科靴技術者とも呼ばれる「オートペディーシューテクニカーゲゼレ」を取得した靴のプロでもある中山氏は、靴業界の未来も見据えている。 「靴業界において切り札となるのは、オーダーメイド。靴こそ、健康面からいってもその人に合うものを作るべき。現在、靴屋の最大の悩みは、売れるか売れないか分からないものを注文し、さらに5mm刻みでサイズを揃えることによって抱える大量の在庫。効率化と職人技を駆使し、注文が入ってから靴を作るというシステムを確立できれば、街の靴屋も生き残れるかもしれない。そして、靴の本場であるヨーロッパに出店し、日本の技術とおもてなしの精神で世界と戦いたい」と話す。まだまだ靴に対する意識が希薄である、ここ日本。岡山から新たな靴文化をつくり、世界に向けて発信することが、彼の目指すところである。