倉敷のトップヘアーでディレクターを務めた後、1997年に独立しbahoをオープン。現在2店舗を経営する傍ら、倉敷芸能塾を立ち上げ地元の文化振興、そして東日本震災支援に取り組むなど社会活動にも積極的に取り組んでいる。

仕事の流儀を「常に新しいものを取り入れ、変化できる自分であること。」と語る、美容師木下ユキミさん。その言葉通り、前衛的な感性とデザインワークで多くのファンから支持を集める、倉敷の有名ヘアサロンbahoのオーナースタイリストだ。バンド活動に熱中していた高校生の頃からファッションには興味津々。人のスタイルに影響を与える美容師という職業への憧れはあったものの、幼少期の怪我が原因で動かない指があり、鋏を持つ仕事は諦めていたという。しかし、そんな彼に転機が訪れる。全く違う職業に就いていたとき、病気がもとで医師から力仕事は無理だと宣告されたのだ。そこで逆に踏ん切りがつき、美容師になることを決意。当時倉敷でナンバーワンとの呼び声高かった『トップヘア』に就職し、修行を積んだ。他の人が楽にできることも、自分の手では思うようにできない。そんなときは、持ち方を変えたり代用できる技術を磨くなどして工夫を重ね、乗り越えた。念願のスタイリストになった後は、総店長まで務め、12年の勤務を経て1997年に独立。「倉敷から全国へ」をキャッチフレーズにヘアサロンbahoをオープンした。経営者としての手腕を発揮し、店舗の拡大や他店展開など経営において飛躍的に成長する一方で、クリエイション活動や技術力が評価され、ミラノコレクションへの参加権を手にする。有名ブランドのヘアを担当するなど、まさに地域を飛び越え世界を舞台に活躍してきた木下さん。現在は、他サロンやメーカーの講師として、またオカヤマヘアコレクション実行委員として岡山美容業界全体のレベルアップのため尽力するなど、後進の育成にも積極的に取り組んでいる。「若い子の可能性を広げてあげることが、経営者たるものの使命だと思う。感性と自分らしさを磨き、一流の美容師になるサポートをするのはもちろん、福利厚生の充実を図るなど、職業という面でも希望がもてる世界にしていかなくては。」と美容業界の未来も見据えている。さらにその活動は美容の世界に留まらない。『倉敷芸能塾』を立ち上げ、子供達に伝統芸能を伝え、教えることにより伝統文化の継承と育成を図り、地域活性化にも貢献しているのだ。そして公演で得た収益を寄付するだけでなく、東北大震災の被災地に足を運び、芸能を披露するなど、復興支援にも全力で取り組んでいる。並々ならぬバイタリティで、実に幅広い活動を続ける木下さん。「まだ目に見えずカタチになっていないものを創造していきたい。出会ったことのない自分に会うことが楽しみなんです。」と語る彼の情熱は、これからも様々な枠や垣根を飛び越え、多くの人の刺激になっていく。