高校卒業後、フローリストの道へ。日本フラワーデザイン大賞ブライダルブーケ部門1位など多くの受賞歴を持つ。ブライダルやレッスンを中心としたショップを経営する傍ら、個展やコンテストなどの活動にも精力的に取り組んでいる。

日本フラワーデザイン大賞ブライダルブーケ部門1位、フローリストレビュー優勝、農林水産大臣賞など、数々のコンペやコンテストにおいて輝かしい実績をあげている、フローリスト杉本一洋氏。高校卒業後、ジムのインストラクターやダンサーとして活躍するなど花とは無縁の生活を送っていた彼が、本格的にフローリストの道に進んだのは27歳のとき。きっかけは家業である花店が経営難に陥ったことだった。苦境を打破するべく、また自店の新しい可能性を探るため、アトリエを併設した新しいショップの形態を模索。その一方で、日本を代表するフラワーデザイナー吉野実江子氏に師事し、自身のスキルアップを目指した。「とにかく自分にできることは何でも挑戦しようと思いました。」その言葉通り、フラワーアレンジメントのスクール開催やコンテストへの参加出展など、以前は手掛けていなかったジャンルにも参入し、業績も飛躍的に改善。結果として、彼が代表を務めるオーダーメイド専門のFLOWER SHOP NEOは、岡山で注目されるショップへと成長したのだ。また、2004年から出展していた日本フラワーデザイン大賞で昨年ついにブライダルブーケ部門1位を獲得。全国誌『月刊フローリスト』で毎月の表紙を手掛けるなど、フローリストとして全国的に注目される杉本氏。「花の業界で40代前半はやっと若手から中堅になったぐらい。50代や60代の先輩方が中堅と呼ばれる世界で、僕なんてまだまだです。」と謙遜しながらも、自身が身を置く業界について、現状とこれからの展望を語ってくれた。「昔は当たり前のように生け花を習っている方がおられました。しかし、女性の趣味やライフスタイルが多様化する中、今の若い方々は花への関心が薄れているのが現状。その中で自分の立場だからこそできることを全力でやっていきたいと思っています。例えばオーダーで花を作るなら、『ガーベラが好き』というお客様の言葉を額面通りに受け取るだけではなく、それならこんな花やテイストも好きなのでは、と提案する。そしてどんなに細かいディテールにも絶対に妥協しないという信条をもって、常に期待以上のものを作る。そうすることによってお客様が喜んでくれたり、それがきっかけで花への興味を持ってくれればこれほど嬉しいことはないですね。そして、『フローリストってかっこいい!』と思ってもらえるような憧れの職業として自分が体現していければと思います。」作品展の開催や講師活動など、幅広く活躍する杉本氏。妥協を許さない向上心と飽くなきチャレンジ精神が、見る人を感動させるフラワーデザインを生み出していく。